Bridging the gap between organic and polymer chemistries

The Laboratory of Organic and Polymer Chemistry

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量子化学計算と機械学習を活用した新しい材料合成

ATMのタッチパネルやコンタクトレンズをはじめ、日常の様々な場面で高分子材料は応用されています。しかしながら化学の分野には、より高性能な材料設計や合成方法といった多くの未解決課題が存在しています。私たちの研究室では、コンピューターの力を借り、実験による経験や勘に頼らない、次世代の高分子材料開発を目指しています。最近では、化学者にとってイメージしやすい材料の性質を使った機械学習モデルを作り、高分子を作る化学反応の一つである「放射線グラフト重合」を理解・予測することに成功しました。また、反応に影響を与える性質を数値で分析することも可能です。詳しくは、以下の論文を参考にしてください。ChemPlusChem, 2023, e202300480.

多成分連結反応による高分子合成

多成分連結反応とは、三成分以上の反応基質がワンポットで反応し単一の生成物を与える反応を指します。その反応の複雑さからは想像しにくいですが、有機化学の萌芽段階から存在している古く新しい反応形式です。1850年代には、Streckerアミノ酸合成が発見されました。この反応はアミン、アルデヒド、シアン化水素間の三成分連結反応として認識されています。有機化学においては、昔から存在している反応形式ですが、高分子化学に積極的に導入されたのは驚くべきことにごく最近です。当研究室では、多くある多成分連結反応の中から十分に高分子合成に適用可能な反応群の選定、およびそれに基づく高分子合成を行っています。詳しくは以下の総説を参考にしてくださいKakuchi. R* "Multicomponent Reactions in Polymer Synthesis" Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53 (1), 46-48.もしくは、新しい総説が最近出版されました。ここからどなたでも閲覧可能です。

フッ素導入による新規ポリマーの設計並びに合成

フッ素はその小さな原子半径とその大きな電気陰性度により、最も特徴のある元素のひとつです。このため、フッ素を高分子に導入すると、その反応性や基礎的物性が文字通り”劇的”に変わることがよく知られています。しかしながら、その特徴的な性質のため、フッ素導入反応は一般的に困難を極めます。このため、当研究室ではフッ素化学を専門とする有機合成化学研究室とのジョイントテーマで、フッ素の特徴を生かした新しい高分子合成を展開しています。詳細はまだ公表できませんが、興味をお持ちの方は是非ともご連絡ください。

材料科学への展開~新しい表面修飾反応の開発~

上記二つの研究テーマを示しましたが、当研究室では新しい合成論を展開しています。そこで、純粋な高分子合成のみならず、新しい合成論に立脚した材料表面の修飾方法も開発しています。本研究は、我々の研究室のみでは難しいため、主に高崎量子応用研究所のグループ(プロジェクト環境資源材料研究)との共同研究を進めています。高崎量子応用研究所が有するグラフト重合技術と当研究室の高分子変換技術を組み合わせることで、新しい材料修飾方法を開拓しています。

バイオ由来資源を活用した高分子合成

近年、世界的な石油資源の枯渇およびそれに伴う価格の高騰により、石油化学を原料とする種々の化学製品の安定的供給に困難が生じ始めています。このような背景から、生物由来資源の有効活用に大きな期待が寄せられています。とりわけ、安定的な供給が可能な木質系バイオマスの有効活用が渇望されています。セルロースなどの多糖類の有効活用に大きな進展が見られますが、芳香族系ポリマーであるリグニンの処理が問題となっています。リグニンはその溶媒への難溶解性から、その化学的変換が困難とされてきています。以上を踏まえ、現在までに有効利用が困難とされているリグニン誘導体から高機能化材料への化学的変換を目的とした研究を展開しています。

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